こんにちは。寄り道キャリアデザイン運営者のKです。
「せっかく公務員になったのに、辞めるなんて狂気の沙汰だ」「定年までしがみつくのが一番の勝ち組だ」
そんな周囲の声や、自分自身の内なる恐怖と戦いながら、スマートフォンで「公務員 転職 もったいない」と検索を繰り返しているのではないでしょうか。
その気持ち、痛いほどよくわかります。
私もかつては警察官として働いており、辞めるときには上司や親、友人から猛反対を受けました。「もったいないお化け」が出るのではないかというくらい、何度もその言葉を浴びせられたものです。
公務員という職業は、現代日本において最強の「安定資産」です。それを手放すことは、確かに一種のリスクを伴います。
しかし、私が実際に警察官を辞め、障がい者施設、起業、外資系IT、そして現在のECサイト運営責任者兼メディア運営者へとキャリアを歩んできた今、断言できることがあります。
それは「思考停止で公務員を続けることこそが、あなたの人生にとって最大のリスクかもしれない」ということです。
この記事では、元警察官である私の実体験と、多くの元公務員仲間から聞いたリアルな声をベースに、公務員からの転職にまつわる「お金」「信用」「キャリア」の真実を、包み隠さずすべてお話しします。綺麗な建前は書きません!
ネガティブな現実も直視した上で、それでも前に進みたいあなたの背中を押すためのガイドマップです。
- 辞めることで失う「生涯賃金」や「退職金」の具体的な金額規模
- 住宅ローンや社会的信用における「公務員ブランド」の凄まじさ
- 30代・40代で民間に出た時にぶつかる「カルチャーショック」の正体
- 私が「安定」を捨てて手に入れた「自由」と「市場価値」の実態
公務員から転職するのはもったいないと言われる理由
世間が口を揃えて「公務員を辞めるのはもったいない」と言うのには、感情論ではない、極めて合理的な経済的根拠があります。
公務員というシステムは、日本の雇用慣行の中で「長期保有」を前提に設計された、極めて優秀な金融商品のような側面があるからです。まずは、リスクを知ることから始めましょう。
具体的に何を失うことになるのか、私の経験ベースでお話いたします。
公務員からの転職で失敗や後悔をするケース
公務員から民間に転職して「成功する人」と「後悔してメンタルを病んでしまう人」の決定的な違いは、「組織の違い」を理解しているかどうかにあります。
私が警察官から民間に移った時、最初に衝撃を受けたのは「スピード感」と「意思決定の基準」の違いでした。
公務員、特に警察組織では「ミスをしないこと」「前例を踏襲すること」「決裁手順を守ること」が絶対正義です。
1つのミスが国民の信頼を損なうため、これは当然の論理です。しかし、民間企業(特に私が経験した外資ITやベンチャー)では、この論理は「悪」とされます。
民間では「利益を生まない時間は罪」です。
「とりあえずやってみて、走りながら考える」「60点の完成度でもいいから世に出す」というアジャイルな動きが求められます。
ここで、公務員時代の癖で「持ち帰って検討します」「上司の確認をとってから…」と慎重になりすぎると、「あの人は決断できない」「スピード感がなくて使いにくい」という烙印を押されてしまいます。
ここが失敗の分かれ道
「丁寧に仕事をすること」と「仕事が遅いこと」は、民間では同義とみなされるリスクがあります。
この価値観の転換ができないまま転職すると、周囲とのコミュニケーション不全に陥り、「公務員に戻りたい…」と後悔することになります。
退職金や安定給与を捨てる経済的損失

「もったいない」の核心部分、それがお金の話です。特に「退職金」と「年金」の損失は、生涯賃金単位で見ると数千万円規模になる可能性があります。
公務員の給与カーブは、景気が悪くても大きく下がることはなく、年齢とともに確実に右肩上がりになります。
これは無リスク金利に近い、極めて稀有なキャッシュフローです。
そして、最大の特権が退職金です。
公務員の退職金は「長く勤めれば勤めるほど指数関数的に増える」設計になっています。
定年まで勤めれば約2,000万円以上が約束されていますが、自己都合で中途退職すると、この権利の大半を放棄することになります。
| 項目 | 定年退職(勤続35年以上) | 自己都合退職(勤続10年程度) |
|---|---|---|
| 平均支給額 | 約2,100万円〜2,300万円 | 数百万円程度(極端に下がる) |
| 支給率の仕組み | 功労報償として満額支給 | 早期離脱ペナルティで減額率大 |
| 年金払い退職給付 | 終身年金として受給可能 | 積立期間不足で受給資格喪失リスク |
さらに見落としがちなのが「年金」です。かつての「職域加算」に代わる「年金払い退職給付」という公務員独自の3階建て部分は、将来の年金受給額を底上げする強力な制度です。
民間企業の企業年金(DC/DB)が充実していない会社へ転職する場合、老後資金形成において、公務員時代よりもはるかに高い自助努力(iDeCoやNISAへの積立増額など)が求められることを覚悟しなければなりません。
住宅ローン審査における公務員の信用力
私が「あぁ、辞める前にやっておけばよかった」と唯一具体的に後悔したのは、不動産関係の手続きです。
金融機関にとって、公務員は「歩く信用創造マシン」です。「倒産リスクほぼゼロ」「ボーナスカットのリスク極小」という属性は、住宅ローン審査において最強のカードになります。
民間企業、特に中小企業やベンチャーに転職すると、たとえ年収が上がったとしても、「勤続年数がリセットされる」ことや「企業の存続リスク」を厳しく見られ、ローンの審査金利が上がったり、希望満額の借入ができなくなったりすることがあります。
よく「公務員を辞める前に家を建てろ」「クレジットカードを作っておけ」と言われますが、これは都市伝説ではなく、金融的に見ても正しいアドバイスです。
これから転職を考える方へ
もし近い将来マイホーム購入を検討しているなら、「公務員の身分証明書」を持っている間に審査を通しておくことを強く推奨します。転職直後の1〜2年は、社会的信用(与信枠)が一時的に低下する期間だと認識しておいてください。
家族の反対である嫁ブロックへの対策
既婚者の方、あるいは結婚を考えているパートナーがいる方にとって、最大の障壁は「嫁ブロック(夫ブロック)」でしょう。
検索キーワードでも頻出するこのワードは、多くのチャレンジャーがここで心を折られている現実を物語っています。
パートナーや親世代にとって、公務員という肩書きは「安心の象徴」です。
特に地方においては、公務員であること自体がステータスであり、それを手放すことは家族全体の社会的地位や生活基盤を揺るがす行為に見えてしまいます。
「やりたいことがあるんだ!」という情熱だけで説得しようとしてはいけません。不安を感じている家族に必要なのは、夢物語ではなく「具体的な勝算とリスクヘッジ」です。
- 家計のシミュレーション:転職後の手取り年収で生活費が回るのか、Excel等で可視化して提示する。
- リスクへの備え:万が一転職先が合わなかった場合、どのようなセーフティネット(再転職のあて、貯蓄)があるか説明する。
- 未来のビジョン:「なぜ今辞める必要があるのか」、公務員を続けた場合の「見えないリスク(スキルの陳腐化)」を論理的に説明する。
私は起業する際、かなり無謀な挑戦でしたが、それでも「ダメだった時はこうやって稼ぐ」というプランB、プランCを用意して説得しました(結果的に起業は失敗しましたが、プランBのWebスキルで生き残りました)。
誠意とは、情熱ではなく準備の量で示しましょう。
30代や40代で直面する年齢の壁
「35歳転職限界説」は崩れつつあると言われますが、異業種への転職、こと公務員から民間へのキャリアチェンジにおいては、年齢の壁は依然として高く分厚く存在します。
20代(第二新卒枠): ポテンシャル採用がメインです。「公務員の常識に染まりきっていない」「素直で学習意欲がある」と判断されれば、未経験職種でも十分に採用のチャンスがあります。
30代以降: 求められるのは「即戦力」と「専門性」、そして「マネジメント能力」です。
ここでミスマッチが起きます。公務員としての「係長」や「課長補佐」の経験は、部下の勤怠管理や事務分担の調整が中心であり、民間が求める「売上目標の達成責任を負ったマネジメント」や「P/L(損益計算書)を見た事業運営」の経験とは質が異なるからです。
年齢を重ねれば重ねるほど、民間企業からは「扱いづらい年上の部下」と見なされるリスクが高まります。
特別な専門スキル(土木技術、税務のスペシャリスト等)がない限り、30代後半以降の「なんとなく転職」は、年収ダウンや非正規雇用への転落といったキャリアのダウンサイズを招く危険性が高くなります。
スキルなしと判断される市場評価の現実
残酷な現実をお伝えしますが、転職市場において「公務員としての事務処理能力」は、ほとんど評価されません。
「正確に書類を作る」「窓口でクレーム対応をする」「法令に基づいて判断する」 これらは行政運営には不可欠な素晴らしい能力ですが、企業の「利益」に直結しないため、職務経歴書にそのまま書いても「スキルなし」と判断されてしまいます。
民間企業が喉から手が出るほど欲しいのは、以下のような「ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)」です。
- 商品やサービスを売る「営業力・交渉力」
- Web集客や販売戦略を練る「マーケティング能力」
- システムを構築・運用する「IT・プログラミングスキル」
- 企業の財務状況を分析する「会計・ファイナンス知識」
公務員からの転職を目指すなら、今の業務の中でこれらの要素に繋がる経験(例:地域イベントの企画運営=プロジェクトマネジメント、予算要求資料の作成=計数管理能力)を無理やりにでも見つけ出し、ビジネス用語に「翻訳」してアピールする技術が必要になります。
公務員から転職するのはもったいないか実体験で検証
ここまで、耳の痛い「ネガティブな現実」を羅列してきました。「やっぱり辞めるのはやめようかな…」と思った方もいるかもしれません。
しかし、ここからは視点を変えて、私が実際に外の世界へ飛び出して感じた「ポジティブな真実」をお話しします。結論から言えば、私は「公務員を辞めて本当によかった」と心から思っています。
私が民間企業を選んで成功した理由
私が警察官を辞めて民間企業、そして現在のWeb/EC業界を選んでよかったと確信している最大の理由。それは「自分の人生のハンドルを自分で握れるようになったこと」です。
公務員時代は、自分の意志とは無関係な人事異動で勤務地が決まり、やりたくない業務でも断る権利はありませんでした。「組織の歯車」として生きることが求められ、個人の色彩は消すことが美徳とされました。
もちろん、失敗すれば自分の責任ですし、クビになるリスクもあります。でも、そのヒリヒリした感覚も含めて、「自分の足で立って生きている」という実感があります。
「安定」とは、誰かに守ってもらうことではなく、「どんな環境でも自分で稼げる力を持っていること」だと、私は定義を変えました。このマインドセットの変化こそが、最大の成功報酬だと思っています。
実力次第で年収アップを狙える可能性
「公務員を辞めると年収が下がる」というのは、半分正解で半分間違いです。 確かに、転職初年度は一時的に年収が下がることが多いです。私も警察官時代より下がりました。しかし、民間企業には公務員にはない「爆発力」があります。
公務員の昇給は、どんなに優秀でも年間数千円〜1万円程度の定期昇給に限られます。仕事をしない隣の席の職員と給料は変わりません。これが「悪平等」としてモチベーションを下げる原因にもなります。 一方で、実力主義の民間企業や、インセンティブ制度のある営業職、需要の高いIT業界では、スキルと成果次第で年収がジャンプアップします。実際に私の周りでも、公務員時代は年収400万円だった人が、転職して数年でWebマーケターとして独立し、年収1,000万円を超えた例はいくつもあります。
副業という選択肢

さらに大きいのが「副業解禁」です。公務員は法律で副業が禁止されていますが、民間企業の多くは副業OKです。本業で安定収入を得ながら、私のようにブログやメディア運営、YouTubeなどでプラスアルファの収入を得る。
この「収入の柱を複数持つ」というリスクヘッジができるのも、民間ならではの特権です。
公務員経験が強みになるBtoG業界

「自分には民間で通用するスキルがない」と悲観する必要はありません。実は、公務員経験がプラチナチケットになる業界が存在します。それが「BtoG(Business to Government:対行政ビジネス)」です。
行政の予算規模は国家予算レベルであり、民間企業にとって行政は巨大なクライアントです。しかし、民間企業の人間は「役所の論理」「入札の仕組み」「稟議の通し方」「独特の言語」を全く理解していません。 ここで、元公務員の出番です。
- 建設・土木コンサルタント:都市計画や道路行政の裏側を知っている経験。
- 自治体向けITベンダー(GovTech):戸籍システムや税務システムの業務フローを熟知している知見。
- 人材・研修会社:役所の人事制度や研修ニーズを肌感覚で理解している強み。
こうした領域では、「元公務員です」というだけで、「おぉ、役所の言葉がわかる通訳が来てくれた!」と重宝されます。完全に未経験の業界に飛び込むのが怖い場合は、こうした「公務員の強みをスライドさせる転職」を狙うのが賢い戦略です。
転職サイトやエージェントの活用法
ここまで読んで「少しだけ転職に興味が出てきた」という方に、絶対にやってほしいアクションがあります。それは「転職エージェントにとりあえず登録して、面談だけしてみる」ことです。
多くの公務員は、真面目すぎるがゆえに「転職する決意が固まってから登録しよう」と考えます。しかし、これは順序が逆です。「自分の市場価値がどれくらいあるのか」「どんな求人があるのか」を知らないまま悩むのは、地図を持たずに航海に出るようなものです。
エージェントと話をすると、以下のような発見があります。 「あなたのその調整業務経験は、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)という職種で評価されますよ」 「今の年収を維持したいなら、この業界のこの職種しかありません」 これらは、一人で求人サイトを眺めているだけでは絶対に見えてきません。
登録も面談も無料ですし、在職中に活動しても職場にバレることはありません(ここ重要です)。
「いい案件があれば考えるし、なければ現職に残る」。このスタンスで活動できるのが、在職中の特権です。
自分の市場価値を客観的な数字(オファー年収)として知るだけでも、今の仕事に対する見え方が変わるはずです。
公務員から転職するのはもったいないか決断する
最後に、あなたに問いかけたいことがあります。 あなたが守りたい「もったいない」の正体は、過去に積み上げた時間(サンクコスト)ですか? それとも、これからの未来の可能性ですか?
もし、「今の仕事は辛いけれど、退職金と世間体が惜しいから辞められない」と思っているなら、それは「自分の人生」ではなく「制度」を生きていることになります。
一方で、「公務員の安定は魅力的だが、それ以上に挑戦したいこと、手に入れたい生活がある」と心から思えるなら、転職は決して「もったいない」選択ではありません。
私は警察官を辞めて、道に迷い、起業に失敗し、遠回りをしました。まさに「寄り道キャリア」です。
でも、その全ての経験が今の自分の血肉となり、こうしてあなたに情報を発信できています。今の毎日は、公務員時代よりもはるかに刺激的で、自分の人生を生きている実感があります。
転職はゴールではなく、新しい自分に出会うための手段です。 リスクはあります。
でも、行動せずに後悔し続けるリスクの方が、長い人生においては致命的かもしれません。
この記事が、現状を変えたいともがくあなたの背中を、少しでも強く押すきっかけになれば嬉しいです。あなたの決断を、私は心から応援しています。
※本記事の内容は筆者(K)の実体験および独自の調査に基づくものです。
退職金制度や共済年金の詳細は、所属する自治体や採用時期によって異なります。必ずご自身の人事担当部署や関連規定をご確認ください。
キャリアの選択は、最終的にはご自身の責任においてご判断ください。
