警察官の給料はなぜ高い?仕組みや手当の裏側とブラックな実態

警察官の給料はなぜ高い?仕組みや手当の裏側とブラックな実態
K
寄り道キャリアデザインの編集者
寄り道キャリアデザイン編集者の「K」です。私は公務員(警察官)→福祉施設→外資IT→地元のマーケティング職→ECサイトのサイト運営責任者と多くの職を転々としてきました。キャリアの「もがき」と「喜び」を皆様にお伝えいたします。

こんにちは。寄り道キャリアデザインの運営者「K」です。

公務員の中でも特に高収入なイメージがある警察官ですが、ネット上では「給料が安い」という知恵袋の書き込みを見かけることもあり、実際のところが気になっている方も多いのではないでしょうか。

実は警察官の給料がなぜ高いのかという理由には、独自の仕組みや手当だけでなく、高卒と大卒で生涯賃金が逆転するカラクリや、退職金に関する事情など、あまり知られていない裏側が存在します。

今回は、元警察官でもある私が「新卒1年目で150万円貯金できた」という実体験や、ブラックと言われる労働環境の実態も含めて、その給与構造の謎を包み隠さずお話しします。

当記事のポイント
  • 行政職とは異なる「公安職俸給表」による給与水準の高さとその法的根拠
  • 階級ごとの具体的な年収目安と高卒が大卒の生涯賃金を上回るメカニズム
  • 退職金2000万円や強力な福利厚生など給料以外に見る経済的メリット
  • 高収入の裏にある長時間労働や私生活の制限といったリアルな代償
目次

制度から分かる警察官の給料はなぜ高いのか

警察官の給料が一般の公務員や民間企業と比較して高い水準にあるのには、明確な制度的理由が存在します。

ここでは、給与が決まる仕組みや手当の構造、そして学歴による違いなど、制度面からその理由を深掘りしていきましょう。

給料の仕組みである公安職俸給表の優位性

まず結論から言うと、警察官の給料が高い最大の理由は、適用されている給料表が一般の市役所職員などが使う「行政職俸給表」ではなく「公安職俸給表」だからです。

私たち警察官は、職務として公共の安全と秩序を維持するために、時には身の危険を顧みずに行動しなければなりません。このような職務の特殊性や危険負担を考慮して、給与水準があらかじめ高く設定されているのです。

公安職格差とは?

統計的に見ると、公安職俸給表の水準は行政職俸給表と比較して平均約12%程度高く設定されています。

これを「公安職格差」と呼び、初任給の時点からすでにスタートラインが嵩上げされている状態なのです。

例えば、同じ大卒で公務員になったとしても、一般事務職員と警察官では基本給(俸給月額)に数万円の開きが生じます。

この差は毎月の給料だけでなく、基本給をベースに計算される賞与(ボーナス)や退職金にも連動するため、生涯年収で見ると数千万円規模の大きな差となって現れてくるのです。

警察官の年収を階級別にシミュレーション

警察官の給料は、「階級」と「号給」の組み合わせで決まります。

階級が上がれば給与のランクが上がり、同じ階級にいても毎年号給が上がることで定期昇給していきます。

一般的なモデルケースとして、階級別の推定平均年収を見てみましょう。

スクロールできます
階級役割・職務推定平均年収
巡査交番勤務など(初任階級)約560万円
巡査部長現場のリーダー格約620万円
警部補係長クラス・現場指揮官約660万円
警部課長補佐・交番所長など約710万円
警視警察署長・本部課長など約760万円

都市部ではさらに高額に
上記の金額はあくまで全国平均の目安です。警視庁(東京)や大阪府警などの都市部では、後述する地域手当が加算されるため、警部補クラスで年収800万円、警視クラスで1000万円を超えることも珍しくありません。

警察組織には年功序列的な昇給システムが依然として強固に残っており、長く勤めれば勤めるほど、そして昇任すればするほど、確実に給料が上がっていく仕組みになっています。

高卒と大卒の給料の差は昇任スピードで変わる

高卒と大卒の給料の差は昇任スピードで変わる
高卒と大卒の給料の差は昇任スピードで変わる

「警察官になるなら大卒の方が有利で給料も高い」と思われがちですが、実はこれ、半分正解で半分間違いです。警察官という職業においては、高卒の方が生涯賃金で有利になるケースが多々あります。

ある県警の資料では、「高卒で働くと、大卒よりも生涯賃金が1,000万円以上高い」という試算が出ているほどです。なぜこのような逆転現象が起きるのでしょうか。

  • 4年間の先行利益大卒者が大学に通っている4年間に、高卒者はすでに給料とボーナスをもらっています。この差は約1200万〜1400万円にもなります。
  • 退職金の積算期間18歳から定年まで42年間勤める高卒者の方が、勤続年数が長く、退職金の計算で有利になります。
  • 実質的な昇任スピード大卒者は採用後早く昇任試験を受けられますが、高卒者は若いうちから現場経験を積めます。最短で合格し続ければ、20代前半で高卒者が大卒者の上司になり、より高い給料を得ることも可能です。

もちろん、キャリア組(警部以上)を目指すなら大卒にもメリットはありますが、「早く自立して稼ぎたい」と考えるなら、高卒での就職は経済的に非常に合理的な選択と言えるでしょう。

危険手当などの諸手当が月収を底上げする

退職金は2000万円超えで老後の安定も確保
退職金は2000万円超えで老後の安定も確保

基本給の高さもさることながら、警察官の給料を語る上で外せないのが、多種多様な「諸手当」の存在です。これらが毎月の給料に上乗せされることで、額面が大きく跳ね上がります。

代表的な手当には以下のようなものがあります。

特殊勤務手当

パトカー乗務、変死体の検視、爆発物処理など、危険や不快を伴う業務に対して支払われます。日額数百円〜数千円ですが、積み重なると月数万円になります。

地域手当

都市部の物価や民間賃金を考慮した手当です。東京都(警視庁)では基本給等の20%が加算されます。基本給30万円なら月6万円アップという強力な手当です。

超過勤務手当

いわゆる残業代です。事件捜査などで残業が常態化しており、忙しい部署では月10万円以上になることもあります。

「基本給はみんな同じでも、現場で泥をかぶる人間には手当で報いる」という仕組みが、給与総額を押し上げる大きな要因となっています。

退職金は2000万円超えで老後の安定も確保

現役時代の給料だけでなく、出口戦略である「退職金」も高水準です。民間企業の退職金が減少傾向にある中、警察官の定年退職金は平均約2,200万円支給されています。

これは行政職の公務員と比較しても数十万円〜100万円ほど高い金額です。長年の危険業務に対する功労報償的な意味合いが含まれているためですね。

20代から定年まで勤め上げれば、住宅ローンの完済や老後資金として、確実に2,000万円以上の現金が手に入ります。現代において、これほど強力なセーフティネットはそう多くありません。

リスクと対価で考える警察官の給料はなぜ高いのか

ここまでお金の面を中心に見てきましたが、警察官の高給は決して「楽をして稼げる」類のものではありません。ここからは、その裏にある労働環境のリアルや、私たちが支払っている「見えないコスト」について解説します。

警察官の給料が安いという知恵袋の意見と現実

ネットの知恵袋などでは「警察官の給料は安い」「割に合わない」という声を聞くことがあります。年収が高いはずなのになぜでしょうか?

その理由の一つは、「時給換算」した時の低さにあります。

後述するように拘束時間が非常に長いため、総労働時間で年収を割ると、アルバイトの時給と変わらない、あるいは最低賃金ギリギリになってしまうケースがあるのです。

また、若手のうちは寮生活(警察学校や独身寮)での天引きが多く、手取りが少なく感じることも要因の一つです。装備品の一部を自費で購入したり、職場の飲み会などの交際費がかさんだりする「現場のリアル」も、安いと感じさせる一因かもしれません。

ただし、これはあくまで若手時代や一時的な感覚の話。30代以降の昇給カーブやボーナスの額を見れば、他職種の同級生を圧倒していくケースがほとんどです。

ブラックな長時間労働やサービス残業の実態

ブラックな長時間労働やサービス残業の実態
ブラックな長時間労働やサービス残業の実態

警察官の仕事は、どうしても「ブラック」にならざるを得ない側面があります。事件や事故は時間を選んでくれません。

特に刑事部門などでは、月200時間を超える時間外労働が問題になった事例もあります。しかも、公務員には残業代の予算枠があるため、働いた分すべての残業代が出るわけではありません。

枠を超えた分は「サービス残業」として処理されるのが長年の慣行でした。

また、現場活動が終わった後も、膨大な量の捜査書類作成が待っています。

「終わりのない事務地獄」と戦いながら、睡眠時間を削って働く。高給は、こうした過酷な労働環境への対価、あるいは寿命の前借りとも言える側面があるのです。

激務すぎてお金を使えない?

これは私の実体験ですが、新人時代はとにかく激務で、お金を使う暇さえありませんでした。

休日は寝るだけ、平日は仕事だけ。その結果、皮肉なことにお金だけは確実に貯まっていきました。

「高給」の一部は、こうした拘束時間によって消費機会を奪われた結果とも言えるかもしれません。

私生活の制限やストレスに対する対価としての高給

警察官の給料が高い最も根源的な理由は、「自由」の一部を組織に捧げているからだと言えます。

私たちは、好きな場所に住むことができません。「警察署から○キロ以内、または○分以内で参集できる場所」という居住地の制限があります。

休日であっても、管轄外へ旅行に行く際は上司への届出や承認が必要です。

結婚すら自由ではない?

結婚する際も、相手方の身辺調査が行われます。

もし相手の親族に問題があれば、結婚を諦めるか、昇任や配属で不利益を被る覚悟をするか、という究極の選択を迫られることもあります。

24時間365日、常に組織の支配下にあり、緊急時には即座に駆けつけなければならない。この精神的な拘束料が含まれていると考えれば、給料が高いのも納得がいきます。

官舎や信用組合など給与以外の経済的メリット

給与明細には載らない「隠れた資産」も見逃せません。

警察官には、給料以外にも強力な経済的メリットが用意されています。

格安の官舎(宿舎)

都心部で家賃相場が10万円以上するようなエリアでも、官舎であれば月額1万〜3万円程度で住める場合があります。

浮いた家賃分を貯金に回せるため、実質的な可処分所得は年収以上に高くなります。

新卒1年目で150万円貯金できた理由


何を隠そう、私自身が地方の新卒警察官だった1年目に、約150万円の貯金に成功しました。

その最大の要因は、独身寮の寮費が激安だったこと。

そして前述の通り「激務すぎて使うタイミングがなかった」ことです。特別な節約術を使ったわけではなく、ただ警察官として生活していただけで、これだけの資産形成ができてしまう環境は、正直他の職業ではありえないメリットでした。

警察信用組合(けいしん)

警察官専用の金融機関があり、一般の銀行とは比べ物にならない好条件で利用できます。

例えば、定期預金の金利がメガバンクの100倍以上であったり、住宅ローンの審査が通りやすかったりと、資産形成において圧倒的に有利な「金融特権」を持っています。

警察官の給料はなぜ高いのか?元警察官としての結論

ここまで解説してきた通り、警察官の給料が高い理由は、公安職としての制度的な優遇に加え、過酷な労働や私生活の制限に対する「リスクプレミアム」が含まれているからです。

私自身の経験から結論を言えば、「額面としての年収は間違いなく高いし、安定性も最強。でも、拘束時間やストレスを考えれば、決して貰いすぎではなく、むしろ妥当か少し安いくらい」というのが本音です。

もしあなたが、「自由を多少犠牲にしてでも、経済的な安定と高収入を確実に手に入れたい」と考えるなら、警察官という職業は非常に合理的な選択肢になるでしょう。

光(高収入)と影(リスク)の両面を理解した上で、キャリアを検討してみてくださいね。

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この記事を書いた人

寄り道キャリアデザイン編集者の「K」です。私は公務員(警察官)→福祉施設→外資IT→地元のマーケティング職→ECサイトのサイト運営責任者と転職回数5回と多くの職を転々としてきました。転職のときの私の「もがき」と「喜び」を皆様にお伝えいたします。

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